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【第40話】トスカーナ州出身の著名人:その16 ルカ・パチョーリ (Luca Pacioli)

ルカ・パチョーリ(Sansepolcro 1445~1517)
レオナルド・ダ・ヴィンチに数学を教えた「会計学の父」。
フラ・ルカ・バルトロメオ・デ・パチョーリ(またはパチョーロ)は、イタリアの修道士、数学者、そして経済学者でした。パチョーリはイタリア・ルネサンスが生んだ稀代の人物であり、会計学の分野における革命的な業績から「会計学の父」として知られています。
彼は故郷のサンセポルクロで学び、教育の基礎を築いた後、ヴェネツィアで研鑽を積みました。1470年、おそらくサンセポルクロの修道院にてフランシスコ会に入会しました。数学の教師として、ペルージャ、フィレンツェ、ヴェネツィア、ミラノ、ピサ、ボローニャ、ローマなど各地を精力的に巡りました。
1494年、彼の最も重要な著作の一つである『算術・図形・比及び比例全書(スンマ)』を出版しました。これは複式簿記に関する最初の体系的な解説書とされており、この功績によって彼は「会計学の父」の称号を得ました。この画期的な著作は近代会計学の基礎を築き、商業や経済の世界で広く活用されました。パチョーリが導入した複式簿記のシステムは、会計学に永続的な影響を与え、今日においてもなお、この学問の根本的な要素の一つであり続けています。
パチョーリは経済学や科学の歴史に消えない足跡を残しただけでなく、同時代のもう一人の傑出した思想家、レオナルド・ダ・ヴィンチの教育においても極めて重要な役割を果たしました。この不世出の天才レオナルドとの絆は、ルカ・パチョーリの生涯において最も意義深い章の一つとなりました。1496年、パチョーリはミラノに移り、当時、偉大な芸術家・科学者として頭角を現し始めていたレオナルドの友人であり指導者となりました。
この実りある関係を通じて、パチョーリはこの発明家の数学教師となり、幾何学、遠近法、その他の数学的原理に関する知識を共有しました。これらは、私たちが今日でも称賛してやまないレオナルドの芸術作品や発明の中に活かされることになったのです。
レオナルド・ダ・ヴィンチがルカ・パチョーリのためにデザインした3つの多面体。アンブロジアーナ図書館に保管されている『神聖比例論』の写本(MS 170 sup.)より。
ルカ・パチョーリの肖像
『ルカ・パチョーリの肖像』(または『二重肖像画』、別名『ルカ・パチョーリと弟子の肖像』)は、カポディモンテ国立美術館に所蔵されている謎めいた絵画です。
その作者については、ルネサンス期の画家ヤコポ・デ・バルバリ、アルヴィーゼ・ヴィヴァリーニ、ロレンツォ・ロット、あるいはレオナルド・ダ・ヴィンチなど、諸説あり議論が続いています。
当時50歳前後だったルカ・パチョーリは、集中した、あるいはどこか遠くを見つめるような眼差しで、当時の貴族的な服装に身を包んだ弟子(視線を観客に向けている)に対し、ユークリッド『原論』第13巻の第8命題を実演して見せています。テーブルの上には、1494年にヴェネツィアで出版され、グイドバルド・ダ・モンテフェルトロ公爵に献呈された彼の最も有名な著作『算術・図形・比及び比例全書(スンマ)』が置かれています。その周囲には、数学や幾何学の研究・測定に用いられる道具(羽根ペンとそのケース、コンパス、分度器、チョーク、スポンジ)が散りばめられています。
記念硬貨:1994年 ルカ・パチョーリ生誕500周年記念:イタリア 500リラ硬貨
晩年、ルカ・パチョーリは故郷サンセポルクロのフランシスコ会修道院に退き、静寂と瞑想の中で最後の日々を過ごしました。1517年にこの世を去りましたが、彼の遺志は著作を通じて、また数学と会計学に与えた多大な影響を通じて生き続けています。


引用文献 :Luca Pacioli – Pagina 25
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