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Bicerinのお話

2001年に、ピエモンテ州の“bevanda tradizionale piemontese(ピエモンテ州の伝統的飲み物)”として認定されたBicerin(ビチェリン)とは?

イタリア、トリノの伝統的な温かい飲み物で、ホット・チョコレート、エスプレッソ、そして牛乳から作られ、丸いグラスに層状にして提供されます。1763年にオープンしたCaffe Al Bicerinで提供されたことから、この名がついたとされています。ビチェリンという言葉はピエモンテ方言で「小さなグラス」を意味します。トリノはオーストリアからの独立運動が最も盛んに行われた場所で、愛国者、文学者、芸術家が多く集まり、カフェの文化が栄えました。
ビチェリンは「bicerin ‘d Cavour (カヴールのビチェリン)」とも呼ばれています。イタリア統一の立役者であり、イタリア王国初代首相であったCouvour(カヴール)は、このカフェがお気に入りで、入り口を入ったすぐ左側、時計の下の大理石の丸テーブルで、新聞を片手にbicerinで身体を暖め鋭気を養っていたそうです。
このカフェを訪れた人々の中には、アレクサンドル・デュマ・ペール、フリードリヒ・ニーチェ、パブロ・ピカソ、アーネスト・ヘミングウェイ、ジャコモ・プッチーニ、イタロ・カルヴィーノなど多くの著名人がいて、このビチェリンという飲み物は彼らを虜にしました。
1896年2月1日にトリノのテアトロ・レージョで、プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」が初演されましたが、この頃プッチーニは、このカフェのすぐ近くのアパートの屋根裏部屋に住んでいて、カフェに足繁く通い、この生活が「ラ・ボエーム」のモデルとなったと自身の思い出として語っています。