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Campanilismo カンパニリズモ:郷土愛(イタリア見聞録)

イタリア人は自分の生まれ育った土地を誇りにし、自分の街が一番だと信じています。そこで自己紹介するときには「Sono milanese. 僕はミラノ出身です。」「Sono romana. 私はローマ出身です。」と出身地を言うのが当たり前のようになっています。

イタリアで生活してみると、人々が、朝・夕と「Campanile カンパニーレ:鐘楼」から街中に響き渡る鐘の音に包まれながら生活し、鐘の音が一日の始まり、そして一日の終わりを告げ、このことからも街がひとつの共同体を作っているように感じられます。そして各々の街のCampanileが異なる音色を持つことから、生まれ育った街の鐘の音がイタリア人の愛郷精神や地方性を育んでいると考えられ、故郷を愛する心を「Amore di campanile(鐘への愛):愛郷心」と表現します。ここから「Campanilismoカンパニリズモ:郷土愛」という言葉が生まれました。

フィレンツェ歌劇場の音響デザイナーBaggio氏は、イタリア国内のみならずヨーロッパ各地を廻り、それぞれの街のCampanileの音を録音収集しています。彼は舞台で鐘の音が必要になると、その場面にピッタリな音を提供できる人物として、オペラ制作者の間では良く知られています。イタリア人にとってはCampanileの音はとても重要であり、
指揮者や各劇場からの難しい要望にも答える彼は、劇場関係者の間で厚い信頼を得ています。