イタリア語の魅力を探るための考察
その8:遠過去(passato remoto)のお話
イタリア語の
「完了」を表す過去の表現には、
近過去
(il passato prossimo)と遠過去(
il passato remoto)があります。
遠過去は現在と関係性を持たない、現在から切り離された出来事、
あるいは心理的に遠い過去を表わします。
従って
歴史的記述の場合は、遠過去で表します。
Giuseppe Verdi
nacque alle Roncole di Busseto nel 1813 e
morì a Milano nel 1901.
ジュセッペ・ヴェルディはブッセートのレ・ロンコレで1813年に生まれ、ミラノで1901年に亡くなった。
ただし、
現在との繋がりがある場合には近過去を用います。
Gli antichi romani
costruirono molte strade.
古代ローマ人は多くの道路を建設した。
Gli antichi romani
hanno costruito strade che sono tuttora usate.
古代ローマ人が建設した道路が現在もなお使われている。
1) Stamattina
incontrai Mario.
2) Stamattina
ho incontrato Mario,
いずれも日本語に訳すと「今朝、私はマリオに会った。」となりますが、1)の遠過去の場合は、現在から切り離された出来事、
心理的に遠いということを表すので、「たまたま出会った。」と事実を客観的に述べただけ、あるいは「会いたくないのに出会ってしまった。」と遠ざけたいという意味にも繋がります。
以下は、いずれも「キアラは長い間ローマに住んでいた。」という意味ですが、
1) Chiara
visse a lungo a Roma. (キアラはもうローマには住んでいない。)
2) Chiara
ha vissuto a lungo a Roma. (キアラはまだローマに住んでいる。)
L’uso di
visse significa che Chiara ormai non vive più a Roma;
il passato prossimo ammette invece un’accezione inclusiva: Chiara vive ancora a Roma.
※
「夢のような遠い世界のお話」というニュアンスを持たせるために、
童話では遠過去が多く用いられます。
こちらも参考になさってください。