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ルネッサンスの文豪ボッカッチョのゆかりの地「チェルタルド」(イタリア見聞録)

2011年5月20日、ルネッサンスの文豪ボッカッチョ(1313~75年)の家がある町、チェルタルド(Certaldo)を訪ねることができました。
ここはフィレンツェから56kmの所に位置し、人口1万6千人の町で、Certaldo bassa(下の町:新市街)と 丘の上のCertaldo alta(上の町:旧市街)とから成り、この旧市街にボッカッチョの家や古い建物があります。
駅を降りまっすぐ進むとFunicolareの乗り場があり、これに乗って数分で旧市街に到着。この町で制作をしている彫刻家の友人が迎えてくださったので、この町の話を聴きながらの長閑な散策となりました。数日前まではお天気がすぐれなかったとのことでしたが、我々が訪ねた日は快晴で初夏を思わせるお天気でした。緑豊かな木々の間を吹き抜ける風がなんと心地よかったことでしょう。この町は25年以上も前に日本の群馬県甘楽町(かんらまち)と姉妹都市になり、今なお盛んに交流が行われているそうです。
ボッカチョの家の二階、書斎であった部屋は、現在図書館になっていて、ボッカチョに関する研究資料、世界各国語に訳された「デカメロン」の本が並び、日本語の本もありました。
木造の階段を登り屋上に上ると、Certaldoの町が一望でき、遠くの丘に塔の町サン・ジミニァーノ(San Gimignano)が望めます。サン・ジミニァーノまでは10キロ程の距離で、時には自転車で出かけるという話に、私も試してみたい気持ちになりました。

その通りを少し進むと只今修復中のPalazzo Pretorioに突き当たり、その中庭にはHidetoshi Nagasawa氏による日本庭園と茶室があり、思いがけない文化交流に驚かされました。

この小さな町で7月の第3週目には、「Mercantia」という大道芸のお祭りが5日間行われ、世界各地から大道芸人たちが集まってきて、それはそれは賑やかなお祭で眠れぬ夜になるかもしれないとか。この静かな町がどんな騒ぎになるのかこの目で見たかったのですが....... 

Certaldo alta の澄み切った空気と弾けるような陽の光、町中がひとつの家族のような穏やかさ、
まるで時を越えて別世界に踏み込んだような旅でした。
Funicolare
Funicolareに乗らず
坂道を登ってCertaldo altaへ
中世の町
Palazzo Pretorio の中庭
Certaldo bassa

「リゴレット」の舞台になった町マントヴァ

劇場内に入ると、その想像しえない独特の美しさに一瞬息を呑んだ

2009年5月某日、ヴェルディのオペラ「リゴレット」の舞台となったマントヴァの駅に降り立つと、駅前の花壇には白と赤色のバラの花が咲き誇っていました、新緑の心地よい風に吹かれ通りを進んで行くと、そこにも至る所に美しいバラがのびのびと咲いていました。
一番の楽しみであったテアトロ・シェンティフィコに到着し、劇場内に入ると、その想像しえない独特の美しさに一瞬息を呑み、ここで240年もの間、人々が音楽を楽しみ交流を深めてきたことを思うと、この文化の豊かさが羨ましくもありました。
18世紀の最も美しい劇場と言われている Mantova のTeatro Scentifico (別名:Il Teatro Bibiena)は、建築家アントーニオ・ビビエーナ(1700~1774)が1769年に建設し、アッカデミア・フィラルモニカとしてオープンしました。

1770年1月にマントヴァに到着したモーツァルト父子が、この劇場でオペラを観たり、また演奏会を開いて大成功を収めたという記録が残っています。
モーツァルトの父レオポルドは妻への手紙に「これ以上美しい劇場は見たことがない」と書き送っています。
テアトロシェンティフィコの客席(foto Yoh)
テアトロシェンティフィコの舞台(foto Yoh)

音楽の町パルマ(エミリア・ロマーニャ州)

ジュセッペ・ヴェルディは、1813年10月10日パルマ近郊の小さな村レ・ロンコレで生まれました。ここで宿屋と雑貨商を営んでいた父カルロは貧しかったので、教育のために息子を隣町ブッセートの靴屋に奉公に出し、ジュセッペは働きながらその町の学校へ通っていました。

この地で酒造業を営む資産家バレッツィは、ジュセッペ少年に興味を持ち、その才能に援助をしようと、彼を家族の一員として、この地での最良の教育を与えました。 ジュセッペは、このブッセートで音楽の基礎を学び、その後ミラノへ出て、次第に音楽家として認められるようになり、1836年23歳で、バレッツィ家の娘マルゲリータと結婚します。
またパルマは、19世紀後半から20世紀前半に活躍した指揮者アルトゥーロ・トスカニーニ(1867~1957年)の生まれた地でもあり、今年2007年は没後50年にあたるため、生家も修復され、様々な催し物がこの町で開催されています。

2007年4月の復活祭に、念願のブッセート訪問

私は今回やっと、ジュセッペ・ヴェルディを育んだブッセートの町へ足を伸ぼすことが出来ました。
ブッセートの駅を降りると、真直ぐな広い並木道が現われ、こののどかな道を小鳥達の囀りを聞きながら、心地よい陽射しの下を風に吹かれて少し歩くと、ヴェルディ達が通っていたという居酒屋風サラミ屋「CIGNO DI BUSSETO」がありました。 どうしてもここを訪れたくて、何とかこの日の3時に予約を入れて貰っていたのです。看板には<SALSAMENTERIA STORICA>(歴史的なサラミ屋)とあります。覗いてみるとやはり満席、約束の3時までには少し時間があったので、近くのバールで、スプマンテを飲みながら待つことにしました。
そして目指す「CIGNO DI BUSSETO」へ。このお店の常連には、ヴェルディはもちろんのこと、出版社のジュリオ・リコルディ、作曲家オットリーノ・レスピーギ、小説家で詩人のガブリエーレ・ダンヌンツィオ、詩人、作曲家で、台本も書いたアッリーゴ・ボイト、指揮者トスカニーニ、テノール歌手エンリーコ・カルーソ等々がいました。
小さなお店の中には、ヴェルディの肖像画、この店を訪れた著名人達のサイン入りの写真、ブッセートで行われているヴェルディ声楽コンクールの入賞者達の写真等が、壁一杯にワインと共に所狭しと飾られていました。

←著名人達のサイン入りの写真、ヴェルディ声楽コンクールの入賞者達の写真等が飾られている。
今も店構えは、ヴェルディの通っていた当時と変わっていないとか。唯一つしかないメニューは、食べ方もその当時のまま。その名も「merenda(おやつ)」、パルマの名産である生ハムを中心としたサラミ類の薄切りが台に乗った紙の上に並べられて出てきます。
エミリア・ロマーニャ州のワイン、ランブルスコ(発泡性のワインでその名もヴェルディ)を白いお茶わんで飲みながら、生ハムやパルメザンチーズと共に・・・ サルサと名付けられているなすやトマトの煮たものもパンに載せていただくのです。
デザートは昔ながらの木の器にクルミ等のナッツが山盛り、クルミ割り器?(木づちとまな枚)がセットでテーブルに出されます。自分でトントンと割りながらいただいていると、ついつい止められなくなって... 
しかし、どのテーブルにも殻の山が出来ていました!
この上ない幸せに満たされてここを後にし、次はこのお店の斜め前で、現在は修復され博物館になっているバレッツィ邸を見学しました。
ヴェルディの弾いていたピアノ、そしてバレッツィのお気に入りのひじ掛け椅子。そしてアルトゥ一口・トスカニーニーの愛用していた指揮棒の横には、リッカルド・ムーティが18年間愛用していたという指揮棒が並んでいました。 そして壁にはヴェルディのオペラ初演時の歌手達の写真や絵が順番に飾られていて、他では見ることの出来ないものも多いということで、過日のブッセートでの演奏後、ムーティは、これを見るために帰りの列車の時間を遅らせ、ぎりぎりまで一つ一つ眺めていたそうです。
続いて、ここから少し行くと広場に出ます。そこには、テアトロ・ジュセッペ・ ヴェルディ(1868年落成)があります。
この日、劇場ではトスカニーニ没後50年の記念フイルムが上演されていました。小さくてもやはり馬蹄形の劇場です。床も古くでこぼこしていますが、町の人々は当時の劇場を大切に修復しながら、今もここでコンサートを楽しんでいます。
バレッツィ邸の前で
ヴェルディの弾いていたピアノ
バレッツィのお気に入りのひじ掛け椅子
ヴェルディの残した文化を誇りをもち大切にしている人々の生活が、町の至る所に感じられ、そのための余裕なのでしょうか、ほっと包まれる様な暖かさにあふれる町でした。
ブッセートを出る頃は、真っ赤な夕日が駅の向こうに沈むところでした。
ジュセッペ・ヴェルディは、1813年10月10日パルマ近郊の小さな村レ・ロンコレで生まれました。ここで宿屋と雑貨商を営んでいた父カルロは貧しかったので、教育のために息子を隣町ブッセートの靴屋に奉公に出し、ジュセッペは働きながらその町の学校へ通っていました。

この地で酒造業を営む資産家バレッツィは、ジュセッペ少年に興味を持ち、その才能に援助をしようと、彼を家族の一員として、この地での最良の教育を与えました。 ジュセッペは、このブッセートで音楽の基礎を学び、その後ミラノへ出て、次第に音楽家として認められるようになり、1836年23歳で、バレッツィ家の娘マルゲリータと結婚します。
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